2009年10月9日金曜日

落選東京の戦略ミス

 以前の招致活動のときには、IOCに効く顔が多かったと言われています。JOC元会長の堤義明氏、ピンポン外交の故・荻村伊知朗元国際卓球連盟会長などのように、国際スポーツ人脈に長けて人たちが多くいたということです。島国日本では、そういう人も育ちにくいのでしょうが、スポーツの国際人も育てる必要があります。今では、柔道の山下泰裕氏などが、そうなるのでしょうが、山下氏は、国際柔道連盟の理事からもはずれています。そして、山下氏を招致大使に任命して、海外のIOC委員に会いに行かせますと、招致大使になったがために招致ルールに抵触しかねないということで、「スケジュール帳からわたしと会ったことを削除してくれ」と言われたと、山下氏が述懐しています。ロビー活動は、こっそりやるべきだということは、世の常識です。
 北島康介氏は、現在の日本のアスリートでは、もっともよく知られている一人と思うのですが、コペンハーゲンには行っていません。もう、最初から諦めていたのでしょうか。室伏氏、小谷氏などで、よかったのでしょうか。スポーツとして、マイナーな気がします。
 また、投票の際のアジア票は19票あります。これを基礎票にして、積み上げていかねばならないのですが、次のオリンピックに名乗りをあげたいところは、今回、アジアで開催されると2020年の開催には不利になるということで、リオなどに投票したようです。また、アフリカ諸国は、リオに流れました。次はサッカーと同じようにオリンピックもアフリカに持ってこよう。そのためには、リオで「南米初」、アフリカで「アフリカ初」の流れを作ろうと考えたのでしょう。
 そう考えて来ると、次にインドあたりが立候補すると、日本での開催の芽はないように思われますが、このIOCの選挙は、国政選挙と違って、現物に近いものが動くようです。要は、スポーツの祭典といいながら、水面下では、もっとドロドロしたものが動くようです。これが、1票を確実にとるためには、有効なのでしょう。東京は、150億円かけて、約20票しかとれませんでした。1票7.5億円です。2012年のロンドンの招致にかけた費用が60憶円と言われています。大阪が30億円でした。これから見ますと、東京が1票とるのにもっとも効率が悪かったといえます。何のための招致活動、招致費用だったのでしょう。
このような「・・初」といったムードを作らせずに、IOC委員が「まいった」というような企画を考えるべきでしょう。今回のプレゼンも、「招致委員会」が作ったものではなく、イギリスの代理店に企画構成などすべて委託したわけです。このために東京の情報が漏れていたとも言われています。
肝心の現地には、多くの委員が高い費用をかけて行き、1着30万円のブレザーを着ていましたが、「東京は何人来ているのだ」と笑われていました。しかし、ロビー活動は、せずにプレゼンのリハーサルばかりやっていたそうです。
 結局は、司令官が悪かったのでしょう。猛省していただきたいものです。たしかに、オリンピック開催は、夢がありますので、夢に終わらせないためには、いかにしたら勝てるかを次の世代に残してほしいものです。

0 件のコメント: