2010年5月22日土曜日

ドイツ、市場安定に空売り禁止

 ドイツ連邦金融監督局は18日、国内市場で取引されているユーロ圏各国の国債に対する、資産裏付けのない空売りを19日午前0時から一時的に禁止すると発表しました。空売りは、今後、下がると思われる国債や株を売り、今後、高くなると思われるときに買い戻すわけです。したがって、実際以上に下がることが起こります。この禁止措置には、資産裏付けのないクレジット・デフォルト・スワップ(GDS)も含まれています。CDSは企業や国家の破綻リスクを売買するデリバティブ(金融派生商品)の一種です。ギリシャの債務危機では、裏付け資産のない投機的なCDS取引がギリシャの国債利回りの急上昇を招き、信用不安を拡大させたとの批判があります。
 ドイツ当局は今回の禁止措置で、ギリシャなどの大幅財政赤字を抱えるユーロ導入国に対する投機を牽制した格好ですが、どのくらい有効かは疑問が残ります。
 金融監督局は、商銀最大手ドイツ銀行や保険大手アリアンツなどの同国の主要な金融関連株に対する資産裏付けのない空売りも禁止します。ギリシャの金融危機は、国債に対するものでしたが、アメリカの場合は、住宅債でした。そして、アメリカの金融機関は、悪魔のような債権を作り、世界中に売りまくり、世の中のお金を集めていますが、それでも足りないようで、常に金融危機を起こさせます。ドイツのこれらの一連の禁止措置は当面、11年3月31日までとします。
 ファンドその他は、空売りで天文学的な利益を得ています。これらの国債のほかに株券に対しても空売りの禁止をやるべきでしょう。今回の件は、ドイツだけにとどまらず、EU諸国、そしてアメリカがやらねばならないでしょう。核と同じで、肝心のアメリカがやらねば、実効が乏しいものになります。

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