日経ビジネスの4月9日号によると、技術経営研究の第一人者である同志社大学大学院の山口栄一教授は、「原発事故が深刻な事態に陥った原因は、ひとえに技術経営のミスであり、海水注入を行うと意思決定しなかった東電経営者の責任だ」と断じています。
山口教授は原発事故発生後、しばらく対岸の火事を見るように事故報道を見ていたのだという。だが、東電から発される「想定外」という言葉の連続に、次第に疑問を抱くようになりました。
明らかになったのは、「最後の砦は存在し、震災で外部電源が失われた後も動いていたということだ」
山口教授の検証によれば、1号機は8時間、3号機は20時間、そして2号機は70時間、電源喪失後も設計通りに動き、炉心を冷やし続けていたといいます。
「最後の砦が動いている間に海水注入すると意思決定していれば、炉心が溶融し、原子炉が制御不能の事態に陥ることはなかったはずだ。しかし、東電の経営者の決断は遅れに遅れてしまった」と述べています。
山口氏は、さらに。
「海水注入は、原子炉を廃炉にすることを意味する。多大な損害を破る決断に、東電経営者が躊躇したことは想像に難くない。
「原子力発電というリスクの高い技術を事業にしていながら、原子力の物理限界も知らない人間を経営者にするというのは、決してあってはならないことだ」と痛烈です。
「本来、経営者がすべきことを怠った東電の経営者は、重大な注意義務違反で刑事罰に問われる話しだ」と山口氏は語気を強めます。刑事責任まで、踏み込んだ人は、これまでいなかったように思います。
東電の株主42人は3月5日、東電の経営者が事故への備えを怠ったとして、勝俣恒久会長ら現旧役員27人に総額5兆5045億円の損害賠償を支払うように求める株主代表訴訟を、東京地裁に起こしました。
東電経営者への訴訟の行方は、経営者の責任を問うことができる社会へと、日本が変われるかどうかの試金石になりそうだ。
しかし、経営者も大変ですが、それだけの気概がある人がいなくなったように思います。
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