2013年2月19日火曜日

松下幸之助は泣いている(4)

幸之助氏の「水道哲学」

ある夏の暑い日のこと。幸之助氏が道を歩いていると、車夫が他人の家の水道から勝手に水を飲んでいました。水道代はその家の人が払っているのですから、水道水は決してただではありません。しかし、勝手に飲むというマナーはともかくとして、ただではない水道水を飲んだこと自体をその家の人もまわりの人もとがめません。

これは水道水が非常に安いものだからだと気づきます。ならば水だけでなく、あらゆる商品が水のように安い価格で普及すれば、人々の暮らしは豊かになるのではないか。そして商品を安くするには大量生産がいちばんだ

そこで、幸之助氏は、

「産業人の使命は貧乏の克服である。そのためには物資の生産に次ぐ生産をもって、富を増大しなければならない」

「産業人の使命も、水道の水のごとく、貴重なる生活物資を無尽蔵たらしめ、無代に等しい価格で提供することである。それによって人生に幸福をもたらし、この世に楽土を建設することができるのである」と、宣言しました。

デジタル化は、実はもう一つの大きな衝撃ももたらしています。それは「インターネット」です。

これからのデジタル家電は単体でどんなに良い性能を持っていても、インターネットやコンピュータ、スマートフォンなどとの連動ができなければ売れない時代がくるかもしれません。

高品質の商品をつくろうという考え方自体は間違ってはいません。日本の家電メーカーの考える「高品質」が、いつのまにか「世界の市場が求める価値」と少しずつズレてしまっていたのが大きな問題でした。そこに危機の芽があるということとに、経営陣も営業も商品開発担当者もエンジニアたちも気づくのが遅れました。

世界の潮流を正しく読める「人材」が決定的に不足していたのです。いつのまにか日本は家電業界の「ガラパゴス島」になっていました。

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