シャープが、今大変な時期にあることは、誰の目にも明らかです。しかし、今、時価総額で世界1位のアップルでも、今のシャープ以上に危機に直面した時期がありました。それも今からわずか15年ほど前です。
スティーブ・ジョブズが、失意のどん底に墜ちたのは、自分が雇ったペプシコーラ出身のジョン・スカリーとソリが合わなくなり、1985年5月24日、自分が創業したアップルから追い出された時でした。蛇足ながら、スティーブがジョン・スカリーを勧誘したときの言葉は有名です。
「このまま一生砂糖水を売りつづけたいか、 それとも世界を変えたいか」1984年後半、ジョブズはMacintoshの需要予測を大幅に誤り、アップルは過剰在庫に悩まされ、初めての赤字を計上してしまいました。
そしてNeXTを創業しますが、これも成功しませんでした。
また映画、『スターウォーズ』シリーズを制作したジョージ・ルーカス監督のインダストリアル・ライト&マジック(=現在のルーカスフィルム)からコン ピュータ・グラフィックス部門を買収し、ピクサーと命名し、コンピュータ・グラフィックス専用のハードウェアを発売しますが、これもぜんぜん売れませんで した。
NeXTでもピクサーでも仕事が行き詰っており、両社とも倒産間際のギリギリの状態でした。
PCに関しては、当時はウインテルの黄金時代でしたので、「およそPCで最も付加価値がある部分はマイクロプロセッサーとOSであり、これはインテルとマイクロソフトがおさえている。だからそれらを自社で作るのは自殺行為だ」という事が世間の常識になっていました。
アップルはその後、NeXTを買い、スティーブは暫定CEOというカタチで1997年からアップルに戻ります。その時のアップルは、どんどんキャッシュを消費していて、「あと何カ月持つのか」という状態でした。
アップルはその後、NeXTを買い、スティーブは暫定CEOというカタチで1997年からアップルに戻ります。その時のアップルは、どんどんキャッシュを消費していて、「あと何カ月持つのか」という状態でした。
「こんなにキャッシュフローが枯れかかっているのに、OSからコア・プロセッサーまですべて自前で開発するメリットはどこにあるのですか」と問うと、スティーブの答えは、「いまはパーソナル・コンピュータには個性はないけれど、これはちょうどフォードがモデルTを出した頃の状況と同じさ。つまりクルマに個性が無くても、ただ庶民に手が届くというだけで十分だった。でもそういう時代はすぐに終わる」というものでした。
「次に来るのは、個性の時代なんだ。たとえばクルマで言えばポルシェとかそういうイメージだ。ポルシェがGMと同じエンジンを搭載していたら、誰も買わないだろう」
「つまり消費者が思い入れを持ってくれるような狂おしいほど魅力ある、個性的なコンピュータをデザインしようと思えば、当然、すべてをコントロールする必要があるのだ」
その後、アップルは5色のボディカラーをもつiMacを出し、業績を急角度に回復してゆきます。
さらにそのあとは、iPod、iPhone、iPadなどを次々に成功させ、見事に危機を乗り越え、時価総額1位になりました。
シャープは、アップルと比較しても広大な商品市場があります。その中で、ユニークな商品も作って来ました。液晶テレビは、いわずもがなですが、写メールのついた携帯端末、調理器のヘルシオ、掃除ロボット、エアコン、冷蔵庫、プラズマクラスターなどなど数え切れません。これらを着実に売っていけば、かならず光明は見えてきます。iMacが急速な立ち直りを見せたような快復を祈ります。今、欠けているのはスティーブのような強いリーダーでしょうが、こういう人はなかなかいません。スティーブのような人はいないでしょうが、全員でカバーすれば、なんとかなるはずです。困るのは、ベクトルが反対向いている人です。また、大企業病にどっぷり浸かったひとです。こういう人は、上であろうが、下であろうが、去ってもらわねばなりません。こういう人がおれない社風にすれば、急回復も夢ではないと思います。
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