2012年9月6日木曜日

原田泰氏の震災復興欺瞞の構図(6)


昨日からの続きです。次に阪神淡路大震災では、どうだったのかについて述べています。

阪神淡路大震災は被災者一人当たり4000万円
1995117日に発生した阪神淡路大震災の被害は、死者6434名、行方不明者3名、全半壊の住宅249180棟、避難者数はピークで32万人だった。阪神淡路大震災では、16兆円の復興経費をかけているので、被災者一人当たり4000万円の復興費となっている。

この大震災の被害額は約10兆円と推計されているが、この数字はやや過大ではないかと思われる。被害額10兆円という数字は、最終的に兵庫県が99268億円とし、これが確定値となっている。兵庫県の推計では、建築物が58000億円であるが、その内訳がない。鶴田廣巳・宮入興一によれば建築物のうちの住宅の損害は21044億円である。阪神淡路大震災で全半壊となった住宅が249180棟であるので、一棟あたり845万円となる。破壊された住宅の多くが戦後すぐ(一部は戦前からの住宅である)に建てられた木造住宅であることを考えると、この推計は過大ではないだろうか。
深刻な被害に遭われた方は40万人、日本人一人当たりの物的資産額は966万円だから、被害額は966万円を40万倍した3.9兆円程度ではなかっただろうか。

ゴーストタウンの建設に使われた復興費
より大きな問題は16兆円の復興費である。日本人一人当たりの平均物的資産は966万円なのに、なぜ復興経費がこれほど大きくなるのか。
新たに拡大した商業施設にテナントが入っていない。新長田駅近くの1階の商店街にはテナントが入っているが、地下や2階、駅から離れればほとんどシャッター通りになっている。長田区は、新たにシャッター通りどころか、ゴーストタウンを造ったのだ。ゴーストタウンの店舗一つに何千万円ずつかけていれば、一人当たり4000万円の復興費がかかったのも分る。

元々、長田区のこの地域は、ケミカルジューズの製造拠点で、人々は自ら所得を得、誇りを持って生きていた。機械の減価償却は終り、物価も家賃も安いので、所得は低くても生活することができていた。ところが、製造機械を失い、分散して住むことを余儀なくされた人々は、仕事を失い、困窮するか生活保護に頼らざるを得ない状況に陥った。震災前、長田で約5万人が靴の生産で生計をたてていたが、震災によって仕事を失った従業員の『少なくとも3分の1は長田から出ていった』と言われている。

阪神淡路大震災の復興は、うまくいっていると思っていましたが、必ずしもそうではなかったようです。三宮界隈は、震災のあともありませんが、長田区などに行くと原田氏の書いているようにゴーストタウンになっているのでしょう。こういうことは、東京のテレビは、まったく紹介しません。

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