螺鈿紫檀五弦琵琶
昨日、書いた「伎楽面・酔胡王」よりもはるかに貴重で、芸術的価値が高いのが螺鈿紫檀五弦琵琶です。世界で現存する唯一のものです。全長108.1cm、最大幅は30,9cmです。
五弦琵琶はインドに起こり、中央アジアから中国に入って唐代に流行しました。その後は姿を消し、この品がただ一つ残っています。
弦を張った正面にはラクダの上で四弦琵琶をひく人や熱帯の木、鳥、花文を、琵琶の背面には咲き誇る唐花文などを輪のようにつなげて細かに表しています。文様には貝を使った螺鈿やタイマイ(ウミガメ)の甲羅、コハクなどを用い、大変美しく仕上がっています。聖武天皇遺愛の品だそうです。聖武天皇が、政務に疲れ、弾かれていたのではないでしょうか。説明用の機械で聞きましたが、かなり低い音です。当時は、テンポの速い音楽もなかったでしょうから、余計に音が低くなったのでしょう。紫香楽京などのさみしいところで、傍らにお酒をおきながら、弾かれている姿が目に浮かびます。
道鏡、良弁の書
珍しく、道鏡、良弁のふたりの書が展示されていました。良弁の書は、さすがに高僧の書く字と思われる達筆でした。几帳面な性格が表れているように思いました。
意外だったのは、道鏡の書です。有能な僧の書を期待していましたが、角々が丸く、とても能筆家とは思えません。希代のプレイーボーイの字はこういうものかと納得しました。やはり、字は大切です。パソコンを打ちなれた最近は、ほんとに拙い字になりました。少し練習せねばと思いました。
正倉院展に来て、いつも思うのは、非常に人が多いのです。しかも、中年以上の女性が多いのです。時間はあるのは、分かるのですが、分かっているのでしょうかと、いつも心配になります。
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