日銀も黒田東彦総裁が、増税した場合の景気悪化には「金融政策で対応できる」と約束しました。
財務省に近い有力エコノミストが10月初旬、米欧の市場関係者の多くから、「増税という緊縮財政によるデフレ懸念」を指摘されて、衝撃を受けていたそうです。
増税はただちに国内総生産(GDP)の6割を占める家計消費を冷やしますが、政府が検討する経済対策ではそのマイナス分を補えそうにない、という至極真っ当な見方です。
米国系通信社のブルームバーグは11月5日付で、日本国内のエコノミスト34人からの聞き取り調査をもとに「安倍政権の成長戦略に市場が失望感-日銀の物価目標実現の足かせにも」と報じました。
その論点は、アベノミクス「第3の矢」である成長戦略が極めて不十分で、特に規制緩和が小出しに終わっているという批判です。これでは、日銀が「異次元金融緩和」政策を続けても、脱デフレは困難、というわけです。
「規制緩和=成長戦略」という発想は、その恩恵にあずかる特定業種の企業の株価が上がるという、トレーダーが自己利益誘導のために行う「ポジション・トーク」と呼ばれるエゴイズムであって、経済全体の需給関係をよくすることで実現できる脱デフレとはおよそ無縁なものです。
「15年デフレ」はすっかり慢性化し、市場はそれを前提に売り買いします。日本のデフレは1930年代の米国大恐慌時代よりもはるかに長いものです。当時、米国は第二次大戦という戦争景気で最終的にデフレから脱しましたが、今の日本にはそんな外部環境もありません。デフレ増税を避け、財政と金融政策の両面で、脱デフレ策を地道に積み上げていくしか、方法はありません。このことに早く気づくべきです。
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