2013年11月2日土曜日

日中対立から融和へ


中国の常振明CITICグループ会長(右)
と菅義偉官房長官(左)
  尖閣問題で緊張が続くなか、中国が凍て付いた日本との関係改善をさぐり始めたようです。中国を代表する企業のトップが訪日し、政財界の首脳と会いました。背景には経済を安定させるため、外資の力を取り込みたいという中国の事情があります。

「中国と日本のGDP(国内総生産)を合わせると米国に迫る。両国の経済交流は極めて重要だ」と、訪日団の代表を務める常振明氏は日本経済新聞の取材に答え、さらにこう語りました。「残念ながら、昔と比べて交流は少なくなっている」。

常氏は中国最大の複合企業グループ、中国中信集団(CITIC)の会長です。訪日団にはほかに政府系ファンドの中国投資(CIC)や大手建設機器メーカーの三一重工なども加わっていました。924日から5日間で、菅義偉官房長官や経団連の米倉弘昌会長らと会いました。

かれらは、日本の大手企業の旧知の幹部から「中国にいくときに身の危険を感じる」という話を聞き、ショックを受けたといいます。団長の常氏は1980年代に北京第二外国語学院で日本語を学び、日本の大手証券会社で債権発行の実務を研修した中国の経済界きっての「知日派」です。かれは、「中国は経済の安定を保ちながら、構造改革を進めることが必要になっている」といいます

80年に本格的に始めた1人っ子政策で、中国は労働人口の減少に直面しています。その結果、改革開放からずっと続いてきた高成長時代がついに幕を閉じました。いまは7%前後の安定成長にどう移れるかという道を模索しています。隣国と軍事的に衝突しかねない状態が続けば、ほかの国も中国に対しての投資に二の足を踏む懸念があります。

習近平党総書記は、「日本との関係がこのままではよくない」と指示したとみられるといいます。

日本を後にする前に常氏は周囲にこう語りました。「日本の歓迎は予想以上だった。だが、一回で問題を解決するのは無理。信頼を勝ち取るための努力を長い時間をかけて地道に続けるしかない」。

 11月は日本から、日中経済協会(会長・張富士夫トヨタ名誉会長)が約100人の訪中団を送ります。いかに衝突を避け、協力する道をさぐるか。“民間外交”がどこまで進むかに注目が集まりますが、11月は、中国で大事な会議―三中全会があります。この間に要人と会い、大事な話ができるか、多少、疑問が残ります。

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