2013年8月21日水曜日

韓国人は中国が好きか?

  産経新聞のソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏の「から(韓)くに便り」に書かれていたものである。
  ソウルの観光名所の1つである東大門市場から遠くない、東大門のすぐ先の大通りが最近、チャイナ・ストリートの雰囲気になっている。漢字排除の韓国では珍しく、でっかい漢字の看板を出した中国人(朝鮮族)の焼き肉店が軒を並べている。

 店の名前を「京城羊肉串」という。「京城」は日本統治時代のソウルの名前である。戦後(韓国でいいう解放後)はシャクに障る名前として排斥された。今や死語に近い。

 店はその「京城」を堂々と使っているので実にほほえましい。

 首都ソウルの名前は李朝時代は「漢城」といった。いかにも中国の影響を思わせる。これが日本統治の前まで続いた。戦後は漢字では書けない純韓国語の「ソウル」になったため、中国は漢字表記に困り李朝時代の「漢城」をそのまま使ってきた。

 これに韓国は不満で1992年の国交正常化以降、直すよう要求し続け、つい数年前に韓国が希望する「ソウル」の発音に近い漢字をあてはめた「首尓」に変更された。今ソウル市内の道路標示や観光案内はすべて「首尓」になっている。

 「首尓」は漢字としてはまったく意味をもたない。中国人記者に「首尓」について感想を聞いたことがあるが、「発音だけの漢字名は辺境民族を意味するんですがねえ」と苦笑していた。「哈爾浜(ハルビン)」や「烏魯木斉(ウルムチ)」と同じというわけだ。

 中国人からすると「中華文明」に浴しない格下げの名前という。その意味では、「東京」が首都で漢字大好きの日本は、中国から見れば実にかわいく見え、かつ文明的ということになる。

 歴史的、地理的に韓国は日本よりはるかに中国に気を使わなければならない環境にある。それを見越して、「これからは中国だ」と、日本語に代わって中国語を目指す韓国人が増えている。

 ただ韓国での生活体験からすると韓国人は中国にそれほど親近感はない。中国にとってもあの中国文化の象徴である漢字を捨ててしまった韓国はかわいくないに違いない。

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