2013年8月12日月曜日

老化は治せる(13)

 現在、心筋梗塞の既往者に対し、再発を防ぐため「バイアスピリン」が処方されます。
 「1錠で効くものであれば、2錠飲むと、効果は2倍とはいかなくても、1錠のときよりもっとよく効く」と多くの人は考えがちです。
通常量の2倍服用すると、副作用は確実に増加するのですが、肝心の効果はほとんど変わらない、というのが大部分の薬に当てはまることなのです。さらに、効果が逆に低下してしまう薬も少なくありません。
必要量以上の薬は、無駄どころか、かえって悪影響を及ぼす可能性があります。必要のない薬のほとんどは肝臓によって解毒され、からだの外に排出されることになります。

常用量の3分の1程度のアスピリンを服用すると、うまい具合に、血小板の血栓生産機能を抑え、さらに、血管への血栓付着作用も阻害することができるのです。医療現場で少量のアスピリンが動脈硬化の予防薬(バイアスピリンやバファリン配合錠A81という薬品名)と言われるのは、こういった事情があるからなのです。これに、悪玉コレステロールや中性脂肪の治療薬と併用すれば、動脈硬化対策にはもっと有効だと見なれているのです。

アスピリンの飲みすぎには注意が必要です。アスピリンを飲みすぎると血栓症の予防どころか、胃潰瘍になるのがオチです。アスピリンを処方されている方が、アルコールやイチョウエキス、ニンニクエキス、ビタミンEなどほかのサプリンメントと併用すると、血が止まりにくくなり、危険です。
タバコやほかの種類の消炎鎮痛剤と一緒に服用すると、抗血栓作用が落ちます。欧米の疫学調査から大腸ポリープや大腸ガンの予防にアスピリンが有望視されるようになりました。日本ではいまだ保険が適用されておらず、ガンの予防的治療にアスピリンを処方するときには自費負担となっています。

2010年12月にイギリスの権威ある医学誌「The Lancet」に載った報告が注目を集めました。大腸ガンにとどまらず、前立腺ガン、咽喉ガン、肺ガンなどのガン予防に毎日一定量のアスピリンを内服することが有効だというのです。アスピリンがガン予防に対して効果があるのではないかという見方は、翻すとガンもまた炎症が引き起こす病気であると推論されるからです。

肝炎ウィルスにより発病する肝臓ガン。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染によって起こる胃がん。これらは、ガン発症の下地になる組織にウィルスや細菌が炎症を起こすことで発病することがわかったのです。

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