2013年5月4日土曜日

乱世を生きるということ(3)~五木寛之/宮城谷昌光

 


  宮城谷氏は、『論語』や『史記』のなかの人々と後世の間には、あまりにも長い時間が流れていて、繫がりが残っているがどうかわからないと語っています。実在した最初の王朝である殷が誕生してから、項羽を破って劉邦が前漢をうち立てた段階ですでに1400年もの歴史を経験しています。


  たいていのことは終わってしまっているわけです。天子を天神との繋がりを持つ世界で唯一の存在として崇拝するという精神的伝統は断絶してしまうんです。それ以降は、どんな小さな国を作っても、勝手に天子になってしまう。ここで、中国は終わってしまっているようです。壮大なロマンは歴史の最初の1400年にすべて起こってしまったようで、あとはその焼き直しか、矮小化したものに過ぎないようにも思えます。中国からもこれから英雄は出てこないでしょうし、日本も幕末の出過ぎたように思います。とはいうものの、偉人英雄の出現を期待して待ちたいものです。

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