2013年11月29日金曜日

慰安婦問題への反撃

 慰安婦問題を悪化させたのは河野洋平元衆院議長であることは、だれもが知っています。閣議決定もなく、彼が慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」をめぐって新たな動きがありました。元慰安婦への聞き取り調査が、極めてずさんだったことを暴いた産経新聞のスクープ(1016日)を受け、日本の母親たちのグループが河野氏に対して、「ずさんな調査を知っていたか」「河野談話の撤回に賛同するか」という公開質問状を送りました。

 「河野氏は、母親たちにきちんと説明すべきだし、間違った政治判断で国益を損なったことを、国家と国民に謝罪すべきだ」

 これまでは、中国や韓国に理不尽な批判・要求を受けても、米国から「反撃することを封じられ、泣く泣く引き下がってきた」と聞きます。

 米国としては、「強い日本」が復活することを阻止する意図があったのでしょう。

 最近、米国は経済力低下に加え、元CIA職員のスノーデン容疑者がバラした盗聴問題や、シリア空爆の議会承認を得られなかったことなどで国際的影響力が落ちてきています。中国は経済力や軍事力を増大させており、東アジアのパワーバランスが崩れる危険性が出てきました。

 韓国の朴槿惠(パク・ウネ)大統領が常軌を逸した「反日」政策を続け、中国の属国入りするような姿勢まで見せているため、米国としては韓国の行きすぎた世論を沈静化させる必要が出てきたわけです。そこで、日本が慰安婦問題で反撃に出られるように「真実を主張する機会」を与え、真っ当な日韓関係へと誘導しようとしています。

 外務省は先月末、慰安婦問題をめぐって初めて韓国を批判する文書を作成し、在外公館に、日本の立場を各国の主要メディアや有識者、各自治体に伝える取り組みを強化するように指示しました。

 これは、断固、反撃すべきでしょう。国を挙げて。それほどに重要な話です。

2013年11月28日木曜日

弱者を狙い撃ちする現代の地震

 江戸時代に、大地震のときには富裕な商人が蓄えてきた金や米を庶民に「再配分」することが行われました。大地震だけではなく、江戸で繰り返された大火のときにも、この種の再配分のおかげで庶民が立ち直ったり、潤ったりしたといいます。

 例えば、慶応の大火(1866年)のときには日本橋近くの豪商の詳細な支出記録が残っています。それによれば、材木商は大工や左官にはじまって釘屋、石灰屋、砂利屋、縄屋、綿屋、桶屋など驚くほど多くの零細な職業に支払いが行われました。

 現代はすっかり違っています。瀬戸内海を見下ろす神戸大学の高台には慰霊碑が立っています。阪神淡路大震災(1995年)で犠牲になった同大の関係者の碑です。それによれば、学生の死者は39人、うち37人は下宿生でした。

 下宿生は古い木造家屋に住んでいることが多く、それゆえ午前6時少し前の大地震で、多くが犠牲になってしまったといいます。ちなみに、神戸大学では建物はひとつも倒壊しませんでしたから、もしこの地震が昼間だったら、これらの学生は命を落とさずにすんだことでしょう。

 東日本大地震(2011年)でも犠牲者を年代別に数えると、60代が19%、70代が23%、80代以上も23%でした。一方、50代は12%、40代は7%、30代は6%でした。高齢者の割合は人口割合よりもずっと多かったというデータです。

 次に首都圏を襲う大地震でも、費用のかかる耐震補強もおいそれとはできない庶民の「地震弱者」に、被害が特に多くなることが心配されています。