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春秋時代の中国 |
このとき、范蠡は立ち上がっていった。
「会稽のことは、天が越を呉に与えたのに、呉王夫差が天に逆らって受け取らなかっただけですぞ。いま天が呉を越に賜うのであります。天に逆らえるでしょうか?ごらんなさい、21年前、天に逆らった者の運命が、目の前にございます」
「むごいことよのう」
越王勾践は呟いた。
范蠡はかまわずに太鼓を打った。
「講和は拒否された。呉の使者よ、早々に立ち去るがよい」
呉の使者公孫雄は泣いて去った。
「わしはせめて夫差の命は助けたい。そのかわり、呉の国はのこさぬことにする。どうじゃな」
「夫差をどうなさいます?」
「舟山の小島に流し、漁村の村長ぐらいにすればよかろう。あそこでは、兵を集めることもかなわぬはずじゃ。いまの夫差の苦しみ、わが身にかんじるぞ」
「夫差を舟山の島で、百家の長にする。しかし、夫差がそれを受けますかな?」
「受けるほかはなかろう」
「私は受けないと思います」
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