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黄池会盟 呉王夫差 晋の定公と覇権を争う |
「小癪な!」
「この事実を外に漏らす者は斬る!」
と夫差は厳重な箝口令をしいた。
秘密漏洩のかどで、斬刑に処せられた者が7名いた、とある。黄池の会盟は、結局晋の定公が長となった。地理的に、いつでも大軍を繰り出すことができたので、その力のまえには、夫差もどうすることもできなかった。
「大王さま、勾践のような賤しい者の名を、そう口になさいますな」
と、西施は眉をしかめて言った。
夫差は出征のときも、陣中に西施を伴っていた。片時も離さなかった。西施は眉をひそめると、一そう美しくみえた。眉のあたりに、ひきしまったポイントがつくられ、それが新しい魅力を生む。当時、呉王の宮殿では、宮女たちが西施を真似て、悲しくもなんともないのに、眉をひそめるポーズをつくるのが流行ったという。西施捧心という。
「ほう、勾践は賤しいか」
「カラスのような口をしております」
「なるほど、勾践の口はとがっておるわい」
口のつき出たのは、卑賤の相とされていた。
怒りはエネルギーである。本来なら、そのエネルギーが燃えているうちに、急ぎ東南にとって返し、越を討つべきであろう。それなのに、西施は夫差の怒りを操作した。
黄池での会盟のあと、彼はすぐに帰国せずに、宋を討とうとして、中原の地をうろうろしていた。
「宋を討って、勝てないことはありませんが、国もとがしっかりしておりませんから、いずれにしても帰国しなければなりません」
と、大臣の伯嚭は言った。
帰国の途中で宋を討伐するのは、余力をみせるためである。現実は厳しかった。詳報が入るにつれて、越の進攻がたんなる駆け足のひっかきまわしではなく、予想以上のダメージを与えられたことが判明した。
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