2014年8月25日月曜日

「十八史略(16)―鮑叔牙と管仲⑤」

 話を鮑叔牙と管仲の青年時代に戻そう。ふたりは幼馴染であった。
 ふたりは、共同で商売をしたことがあったが、そこから生まれる利益は、ほとんど管仲が持っていった。鮑叔牙は管仲が貧乏なので仕方がないとこれを許した。

鮑叔牙が運よく仕官し、斉の公子小白の守役となった。しばらくして、小白の兄の糾の守役が欠員になったために鮑叔牙は管仲を推薦した。小白の守役として、申し分のない鮑叔牙の推薦であったためにすぐに採用された。
 
斉の国の主である襄公は、息子の彭生に自分の妹文姜の夫の魯の国の主桓公を殺させたのちも文姜を斉にとどめたまま、不倫の恋に身を委ねた。私生活は乱れに乱れ、政治も乱れた。
 
処罰も気ままで規律もなかった。それでも国主としての権限があるので、
「そいつを殺せ!」というと、いつ殺されるか分らないということが続いた。
 
小白は鮑叔牙に
「今の状態では、いつとばっちりが来るかも分らない。わたしは、逃げようと思うがどう思う」
「そうでございます。ここは難を避けて国外に逃げるのが賢明でしょう」
「逃げるにしてもどこに逃げようか」
「すぐに帰国できるところでないといけません。莒(きょ)にしましょう」
 
 莒は山東半島の根元の南、黄海に近いところにある自立した国であるので、万事都合がいい。斉の都、臨湽(りんし)で何か起こってもすぐに駆けつけることができる。
 

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