わずか4日間の日本滞在でしたが、相当に日本国内を騒がせました。
金賢姫(キムヒョンヒ)元死刑囚(48)の乗ったチャーター機は、7月20日午前4時前に羽田空港に到着。政府が用意した車で、10台近くの警備車両に挟まれ、午前7時20分ごろ、長野県軽井沢町の鳩山由紀夫前首相の別荘に到着しました。金元死刑囚の来日は初めてです。
出入国管理法では、1年以上の懲役や禁固の刑が確定した外国人は入国できないことになっていますが、今回は「拉致問題解決のため」(政府関係者)、法務省が特別に上陸拒否をしないという判断を出し、入国させました。
金元工作員は、大韓航空爆破テロの実行犯でもありますが、日本人拉致被害者(田口八重子さん)のことを初めて詳しく証言した貴重な証人でもあります。この証言をきっかけに当時の自民党政権が本腰を入れて拉致問題に取り組みました。このことは、忘れてはならないと思います。
金元死刑囚が工作員としての訓練中に日本語を教わっていた拉致被害者の田口八重子さん(行方不明時22歳)の長男、飯塚耕一郎さん(33)、田口さんの兄で拉致被害者家族会代表の飯塚繁雄さん(72)と、20日に別荘で面会しました。昨年3月の韓国・釜山市での面会以来の再会となりました。飯塚耕一郎さんは、金元死刑囚にエプロンを渡されて、料理の手伝いもしたようです。傍目には、耕一郎氏が甘えているようにも見えました。
21日には、横田めぐみさんの父滋さん(77)、母早紀江さん(74)と面会しました。金元死刑囚の証言によると、めぐみさんは80年代前半、「金淑姫(キム・スクヒ)」と呼ばれる同僚工作員に日本語を教えていたといいます。金元死刑囚がめぐみさんと会ったのは、この時期の可能性があり、新たな証言が期待されましたが、今回もなにも新しい情報はありませんでした。中井洽・拉致問題担当相とも面会する見通し。
家族会の増元照明事務局長(54)は、「金元死刑囚の来日は家族会として昨年来望んできたことで、実現できて何よりだ。金さんからは、拉致に関する新たな情報やこれまでの北朝鮮の説明を覆すような情報を期待したい」と歓迎していましたが、これはありませんでした。
そして、金元死刑囚は23日、東京・羽田空港から政府のチャーター機で韓国に帰国しました。初来日で4日間滞在し、拉致被害者の家族らと面会したが、拉致に関する新情報は得られなかった。また、超法規的判断での入国や国内での「VIP待遇」に、野党などから非難の声が上がっています。
なぜ、この時期に、大きな情報もないと思われるのに金賢姫元死刑囚を日本に招待したのか。政府の見解、中井洽・拉致担当大臣の説明は、まったく理解できません。これは、ひょっとすると、何か進展があって、内閣の支持率回復にならないかと考えたのでしょう。本当の狙いは、拉致対策費は、自民党政権時代に比べ、倍額に増やしているのです。しかし、なにもしていません。これを隠すために行ったことでしょう。今回、かかった費用は、1億円近いといわれています。テレビや新聞には、書きませんが、わたしはそう思っています。今の民主党政権は、拉致問題に対して、何もしていないようにしか思えません。もっと具体的な動きをしてほしいものです。
金元死刑囚が行った大韓航空機爆破事件をおさらいしておきましょう。これは、 1987年11月29日、バクダッド発ソウル行きのKAL858便が爆破され、乗員・乗客 115人全員が死亡しました。バーレーンで、KAL858便に乗らなかった不審な男女が取り押さえられましたが、男はその場で服毒自殺。女は金賢姫元死刑囚で、身柄を韓国に移され、「私は北朝鮮の工作員。上からの指示で大韓航空機に爆弾を仕掛けた」と供述しました。ソウル五輪妨害を狙った北朝鮮によるテロと判明しました。金元死刑囚は、90年に韓国の大法院(最高裁)で死刑が確定しましたが、特別赦免されました。
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