2013年5月9日木曜日

中国の環境問題

  中国の国産メーカーである遠大空調(湖南省)の高級清浄機が指導者らの執務室で動いているが、大気汚染の元凶である微粒子状物質PM2.5を十分に除去できない恐れが出てきました。

大気汚染が日本の基準の10倍、20倍の日が続き、自らの健康に害が及びそうになり、指導部も環境対策に本気になったと日経新聞の3月20日の「習・李体制が挑む壁」に書いています。

上海の川には1万匹も謎の豚の死骸が流れ着き、工場廃液を井戸に捨てる事例も全国で後を絶ちません。豚の大量死亡の原因は、明らかにされていないように思います。

中国東北部の地方都市のことですが、「こんなに高いステンレス管は必要ですか」。日本メーカーが提示した汚水処理施設の青写真をみて中国側の現場監督が話しかけてきました。「安い鉄製でいいじゃないですか。壊れたとしても市の幹部は2年で交代するから気にしませんよ」。これが、中国の現実です。ガソリンも精製メーカーは、日本や欧米のような規制がないために硫黄成分を取り除く高額の装置をつけていません。見かけ上の収益をよくするためです。

 この欄では、「企業や社会全体に環境保護に励めば利益を得られるという意識が乏しい。むしろ環境に関わる出費をできるだけ減らし、利益をあげるのが良いこととされてきた」と書いています。

国有石油大手、中国石油化工集団(シノペック・グループ)2011年に稼ぎ出した純利益は、611億元(9500億円)でした。汚染の原因となる硫黄分を取り除く精製工場をつくれば莫大な投資となり、利益は消えてしまう。中国では欧州や日本の15倍の硫黄分を含むガソリンが売られているとも書いています。

また、この欄では、「送電業務をほぼ独占する国有の国家電網は、全国の発電業者から安く電気を買い、それに利益を上乗せした価格で企業や消費者に売っている。発電業者は国家電網への販売価格が決められているため、汚染物質を含む粗悪な燃料を使って低コストで発電しようとする」とも書いています。

スウェーデンの政府調達では環境ランキングでの評価が高い企業を優遇し、環境を度外視した企業は入札から外されるといいます。

中国で環境保護をすれば「得をする」という意識が最も薄いのは、指導者自身なのかもしれないと、この欄では述べています。温家宝前首相は、環境問題、特に水には熱心に取り組んでいたように思いますが、まわりの協力を得られなかったのでしょう。

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