2013年4月21日日曜日

投資より現金(1)~萩原博子

 
これも文春文庫の「老後の真実」に載っていたものです。

 これからの老後にどれだけお金がかかるかというわけです。自分で実際に計算してみてはいかがでしょう。

総務省の家計調査によると、65歳以上の夫と60歳以上の妻の無職の二人世帯で、1ヶ月にかかるのは27万円。そこから公的年金を差し引いた金額をAとすると、A×12カ月×年数。それが、この先、自分たちに最低限必要な額となります。

もしそれが3000万円で、退職金、企業年金、預貯金を足して4000万あるならば、残りの1千万円は何に使ってもいいということになります。

必要な額には足りず2800万円しか手元にない人が、それを殖やそうとして投資に手を出すケースが往々にしてあります。しかしそれは、残念ながら殖えるより、減るリスクのほうが大きくなりますと萩原氏は言います。

ゆうちょ銀行が扱う投資信託でも、買った時よりも値下がりしているものがかなりあります。基準価額1万円で売り出された投資信託21商品中、現在1万円を超えている商品はたった3商品といいます。増えたのは、14%となり、86%が目減りしています。

発売当初は大人気で好調だった、グロソブと呼ばれるグローバル・ソブリン・オープン・毎月計算型は、1000万円預けると毎月3~4万円の分配金をもらえるのが魅力でしたが、当初の基準価額1万円が、5299円になっているといいます(数字はすべて2011年2月3日現在)。これから、1000万円貯金して、口座から毎月4万円ずつ出すほうがよかったのではないでしょうか。

今はデフレです。昨年1万円だった商品が、今年は9500円で売られたりしています。下手な投資するよりは、相対的に価値が上がっている現金を持つのが賢い方法ということになります。

何によりもいけないのは、退職金を持って、「投資をしたいが、どうしたらいいか」と銀行や郵便局、証券会社の窓口に行くことです。これはカモがネギを背負っていくようなものといえます。相談する相手は営業マンです。となれば、彼らに最も高い手数料が入る商品を売りつけられると思っていたほうがいいでしょう。

いまの時代、投資が勧められないのは、世界経済が非常に不安定だからです。こんなときにする投資は、もはや投資ではなく投機、つまり「博打」です。「博打」でなくなるのは、経済が落ち着いてコンスタントに伸びているときです。

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