2012年5月21日月曜日

断罪すべきは小沢一郎ではなく竹中平蔵、“逃税”疑惑

200311月に出た『政権交代のシナリオ』(PHP研究所)という本がある。小沢一郎と菅直人の共著である。
菅「20031月の衆院予算委員会での小泉首相の発言です。小泉首相が『国債発行30兆円枠』『終戦記念日の靖国神社参拝』『ペイオフ全面解禁』といった公約を次々に破っていることについて問い質したところ、『この程度の約束を守れなかったことは大したことではない』と開き直ったことです」
これに小沢は「言語道断であり、日本の憲政史上、最低の首相答弁」と応じている、次々とマニフェストを破っている菅はこの発言を抹消したいだろう。

竹中については「“逃税”疑惑」というものがあった。それで私は大臣となった竹中に辞職を勧告した。口火を切ったのは『週刊ポスト』の2001117日・24日合併号である。見出しは「竹中大臣は住民税を払っていない?8年で4回の『米国移住』『住民票の移動』は節税対策か」。

これによれば竹中は周囲に、
「知ってる?『一月一日』に日本にいなければ住民税は請求されない。つまり、払わなくていいんだ。だから毎年暮れに住民票を海外に移動し、年を越してから戻ってくれば効果的かつ合法的な節税になるよ」と語り、それを次のように実行していたという。

ハーバード大准教授時代の19897月に住民票を米国に移し、翌90年4月、慶大助教授になるや東京都港区に転居。以後、96年に教授に昇格するまで毎年のように日米間で住民票を小刻みに移動した。

この件は、高杉良が『文藝春秋』で、私も『サンデー毎日』で糾弾したが、竹中はなぜか、高杉やわたしを訴えず、『週刊ポスト』と『フライデー』を名誉毀損で訴えた。
 2002816日号の『フライデー』の見出しは、「デヴィ夫人より悪質な税金逃れ」。同誌はそこで、20011113日の衆議員予算委員会で、民主党の上田清司議員が、
「アメリカで住民票が必要なことはありましたか」
と問いかけたのに、竹中が、
「アメリカには住民票というものはございません」
と答え、上田に、
「結局、いちいち移す必要はないということじゃないですか」
と決め付けられたと報じている。

税法学の権威の日大名誉教授、北野弘久のコメントを引いておこう。
「竹中氏の場合は、故意に住民基本台帳の記録を抹消していた疑いがある。時効の問題を別とすれば、刑事犯として訴追を検討すべき事案といえます」
こんな竹中を重用した小泉はもちろん、盛んに登場させたメディアの責任も忘れてはいけないだろう。

小泉純一郎と竹中平蔵の規制緩和ならぬ安全緩和、民営化ならぬ会社化の「構造改革」とやらに乗って踊り出た三人組がいた。NHKならぬMHKと呼ばれたが、村上世彰、堀江貴文、そして木村剛のトリオである。その後、堀江と村上は捕まったが、ただ一人、木村だけはそれを免れていた。木村が竹中チームの一員で小泉とも近いからだった。

「竹中平蔵総務相の金融ブレーンだった木村剛氏(43)が会長を務める『日本振興銀行』(本店・東京)053月、木村会長の親族会社に約1億7000万円を融資していたことがわかった。この融資では担保価値が低いとされる非上場の振興銀株が担保にされたが、振興銀は融資直前、設立時から担保として認めてこなかった非上場株の中で、自行株だけ認めるよう社内規則を変更していた。金融庁は〇五年一一月から振興銀に初めて検査に入っており、木村会長の親族会社への融資に注目して実態解明を進めている」

「問題の融資を受けたのは、講演会開催や出版物販売などを行う都内の会社」とあるが、木村が全株を保有して始めた会社で17000万円の融資を受けた時の代表取締役は木村の妻だった。明らかに、いわゆるトンネル会社である。

検査する側が同じ「竹中金融相に反竹中の亀井静香が就任するまで解明されるはずもなかった。

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