2011年12月18日日曜日

佐野眞一の津波と原発(24)

 正力松太郎が、国会議員選挙に初出馬したとき、70歳までにあと2ヶ月と迫っていました。そのとき揚げた選挙公約は、正力の政治的野心そのままに、「保守大合同の実現」と「原子力の平和利用による産業革命の達成」という年齢不相応に気宇壮大なスローガンでした。

東京・杉並区の一主婦から始まった原水爆実験禁止の署名運動が、またたく間に3000万人の賛同を得ていた、いまから約60年前に議論されたテーマには、日本に原発を導入するという重大なシナリオが隠されていました。

「日本には昔から、“毒を持って毒を制す”という諺がある。原子力は諸刃の剣だ。原爆反対をつぶすには、原子力の平和利用を大々的に謳い上げ、それによって、偉大なる産業革命の明日に希望を与えるほかない」と正力は考えました。

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