2010年11月1日月曜日

小沢起訴は無効か(3)

 一昨日からの続きです。10月22日の週刊朝日の記事をベースにしています。
 そもそも小沢氏の「政治とカネ」をめぐる疑惑は、その背後にゼネコンによる「ヤミ献金」があるというのが「悪質性」の根拠でした。具体的には、陸山会の土地購入のために小沢氏から借り入れた現金4億円には、こうした“裏ガネ”が使われた、混じっていたというものです。

 09年3月、東京地検特捜部は、準大手ゼネコン「西村建設」からの政治献金が政治資金規正法違反(虚偽記入)に当たるとして、公設第1秘書だった大久保氏を逮捕しました。

 当時、新聞やテレビに出ていた検察OB たちは、「秘書の逮捕は、事件の入口に過ぎない。今後、小沢氏のあっせん利得罪に発展していくはずだ。検察はまだ隠し球を持っている」としたり顔で解説していました。ところが、特捜部が鹿島建設などのゼネコンの一斉聴取、捜査をしました。わたしもそこまでやると何か出て来るだろうと思っていました。世の中の多くの人がそうだったと思います。ところが、大山鳴動してネズミ一匹も出て来ませんでした。捜査は大失敗だったのです。

 その検察が次のチャンスとして食いついたのが、巨額脱税事件で服役中だった、中堅ゼネコン「水谷建設」元会長の水谷功氏(65)の証言でした。

 「岩手・胆沢ダムの工事を受注するための見返りに、都内のホテルで(当時、小沢氏の秘書だった)石川議員に5千万円を紙袋にいれて渡した」というものでした。
検察は、陸山会の土地購入資金の中にこの裏ガネが含まれていると考えていました。政治資金規正法容疑で石川氏らが逮捕されましたが、この時もさんざん指摘された裏ガネの存在は立証することができませんでした。こうして2度に渡って失敗したのでした。

 「裏ガネ」がなければ、この事件は単なる「記載ミス」でした。それを、検審の議決に乗じて無理やり、“大疑獄事件”のように見せているのが実情なのですと書いています。

 先の細野氏が、こう指摘しています。
「この事件は政治資金規正法違反ですらありません。検察は、小沢氏と陸山会の間の資金移動が政治資金収支報告書に記載されていないことが違法だと言いますが、単式簿記を前提とした現行法では、どこまで記載すべきが、その記載範囲に正解はない。作成者のよる裁量の余地を多く残しているのです。それを検察の一方的見解で、小沢氏の狙い、現職の国会議員らを逮捕したのは、国策捜査としか言いようがない」とまで、述べています。

 「悪魔の証明」だとよく言われますが、疑われた人が、その無罪を証明するのは、至難の業だと思います。無罪が確定した村木氏も、自身の経験から「やっていないことをやっていないと説明しても、信じてもらえない。理解してもらうのはむずかしい」と語っています。

 今回の検審の決議は、シロかクロかわかならいから法廷で判断してもらおうという趣旨で「起訴すべき」の判断となったわけです。『不当逮捕された村木厚子さんは、無罪が確定するまでの1年3ヶ月もの長い間、休職しました。「『小沢さんも休職すべきだ』などと、とんでもないことを言い出すひともいます。むしろ、村木さんのような人を一人も出さないためにどうすべきか、ということを議論すべきなのです」と週刊朝日も書いています。

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