2008年7月8日火曜日

くいだおれ太郎

 大阪・道頓堀の「くいだおれ太郎」が7月8日(本日)の閉店に伴い、いったん姿を消します。その後、どうなるのか正式には発表されていません。わたしは関西に40年以上住んでいますが、この店には、一度も入ったことがありません。結局、閉店が決まってからも行かず、遠くから眺めただけでした。この人形は、創業者の故山田六郎氏がいかに客を呼ぶかを考え抜いた末に出来上がったものです。「大阪名物くいだおれ」は昭和24年に誕生しました。目玉は、裏庭のビアガーデンで、「オヤジ」と呼ばれる人形が、ビールを持ってグルグル回るものだったそうですが、具合悪いことに回る度にビールがこぼれてお客にかかるために店員が動かすのを止めたそうです。山田さんは、文楽人形師に頼んで、動く人形を作ってもらいました。チンドン屋を手本にしました。今の「くいだおれ人形」は、昭和25年から登場しています。今年で58歳です。昭和64年に昭和天皇が崩御されたときは、白黒の喪服姿に着替えました。阪神が優勝したときには、道頓堀に放り込まれないようにいろいろ工夫もし、諦めもしました。その後。かに道楽の動くカニやづぼらやのふぐなどの立体看板が表れました。人気が出てきたために、高い金額での買取の話もあるようですが、ここまで騒がせると、「くいだおれ太郎」を他の場所に動かすことは出来ないように思います。
 半世紀を飾った「くいだおれ太郎」が、これからもどこかの店頭を飾るのか、興味があります。しかし、この人形を置いたからといって、客が増えるものでもないでしょう。最初は、もの珍しさもあって、客も来るでしょうが、あとはやはり味などがよくないと客は逃げます。「くいだおれ太郎」58年の人形人生で、この数ヶ月がもっとも輝いた時間だったでしょう。
写真:営業日最後の週末となり、くいだおれ太郎の姿をカメラに収める観光客ら(5日午前11時16分、大阪市中央区の道頓堀で)=原田拓未さん撮影

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