2012年9月1日土曜日

原田泰氏の震災復興欺瞞の構図(1)


 毎日、ジリジリするような暑さが続きますが、国民の関心が国会に向いていない中、参院で野田首相に対する問責決議案が賛成多数で可決されました。法的な拘束力はありませんが、これで国会での審議はストップします。民主、自民、公明による三党合意は何だったのでしょうか。国会は、しばらくは空転するでしょう。ただでも働かない国会議員がますます働かなくなります。しかし、議院立法は、審議できますから、どんどん法律をあげてほしいものです。どの党に限らず、国民の信用はすっかりなくしています。こんな状態で、10月に選挙ができるのでしょうか。今は、憲政史上最悪の状態と思います。なんとか、まともにしてほしいものです。

 さて、原田泰氏の標題について紹介します。新潮新書から発行されたものです。初版が320日です。原田氏は早稲田大学政経学部の教授です。
原田氏は、東日本大震災で毀損された物的資産は、公的資産と民間資産を合わせて、せいぜい6兆円なのだから、山を削って高台を造ったり、割高な自然エネルギーを使うエコタウンを造ったりなどしなければ、復興増税は必要ないと、非力ながら、一人でキャンペーンを行ってきたそうです。しかし、テレビでは、わたしは見たことがありません。かなりの論客ですので、満足なコメントも出来ず、資料も持たないコメンテーターよりは、田原氏を使って、バンバン、政府と対決させるべきだと思います。

「財務省は使い道が何であれ増税できれば勝ちで、他の役所はこれで大盤振舞いができると『祭り』状態にある。いくら増税しても、無駄に予算を使うのでは、穴のあいたバケツで水を汲んでいるようなもので、財政再建など遠い話だ」
さらに「壊れた物的資産が6兆円なら、民間資産を含め、政府がすべて元に戻しても、復興予算は6兆円で済む。復興予算が6兆円で済むなら、到底、増税ということにはならない。この震災が1000年の一度のものなら、6兆円を1000で割って年に60億円の費用を考えておけば済む」
なるほどです。このあたりを読んで、わたしは頷くことばかりでした。本音で書かれています。

「増税を望む人は、どうしても巨額の資本ストックが毀損し、莫大な復興予算が必要だと言いつのる。増税を唱える人は、無駄に税金を使いたいのである。
復興予算を大きくすればするほど、被災地の復興が早まるなら良いが、予算が大きすぎると時間がかかり、復興にとって逆効果にもなる。すでに被災地のメインの道路や鉄道は復興され、大きな工場は動いている。後は、住宅と中小企業と漁港と漁船と魚の加工場を立て直すだけだ。費用の半分を補助するのなら、あと2兆円もあれば足りるだろう。だから、復興増税は必要ない」
この論理、当たっていると思いませんか。8月になってもテレビで流れるのは、昨年3月11日の映像です。もう1年半も経過しているのに。仙台の夜の街は復興予算で恩恵を受けた人たちで大繁盛だそうです。

「不幸なことだが、第2次関東大震災、東海地震、東南海地震、南海地震、あるいはこれらが連動した地震はいつか起きるだろう。そのような巨大地震が将来起きたときの日本は、今以上に高齢化が進み、政府債務が累積し、経済力も弱まっているだろう。そのようなとき、今回のような無駄な復興策を行ったのでは、日本は本当に三流国に転落してしまう。
巨額の公共事業ではなく、人々を直接助ける復興策こそが、被災した人々にも、納税者にもやさしい復興策であることを再度強調したい。
東日本震災とは15846人の方が亡くなられ、3317人の方が行方不明になられた日本の悲劇である。であるにもかかわらず、政治家も役人も、増税して無駄遣いをすることしか考えていない。私は、日本がそんな国とは思いたくない。

本書の主張は単純である。震災で困っている人、その人のみを自立できるように助ければよい。関係のないことをしようとするから無駄にお金がかかる。
そもそも、現状は、被害と関係のない人も助けるための税金の大盤振る舞いになっている。こんなことは止めて、困っている人を直接助けるのが一番だ」
正論だとは思いませんか。世の中、正論が通らなくなっています。「国の累積債務が1000兆円に近くなった。次の世代にこの債務は回せない」といいながら、今回の金のバラマキです。おかしいと思いませんか。

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