2010年10月24日日曜日

迷惑メールによる経済的損失(2)

 米国の調査会社などは、スパムメールによる経済的損失はどれぐらいあるのでしょうか。経済理論を用いて国民の経済的損失を推計する必要があると考えました。

 以下の手順踏んで推計を行いました。
第一に、全労動者に占めるメール受信者の割合を推計する。
第二に、その受信者が何通のスパムメールを受け取っているかを推計する。
第三に、スパムメールを廃棄処理するために費やされる時間を推計する。
第四に、全労働時間からスパムメールを廃棄処理するため費やされる時間を差し引く。
第五に、マクロ経済学の教科書に説明されている簡単な生産関数を用いて労働と資本の弾力性(労働と資本の投入量の増減に対して生産がどの程度変化するか)を推計する。
第六に、推計された労働と資本の弾力性を用いて、スパムメール処理時間がゼロであった場合の国内総生産(GDP)基準値を推計する。
第七に、この基準GDPから現実のGDPを差し引いて、スパムメールによるGDPの損失を推計する。

 04年の日本経済全体における付加価値の損失を推計した。これによれば、スパムメールによる付加価値の損失は約4250億円だったそうです。これは04年のGDPの約0.1%にあたります。

 07年12月に財団法人日本データ通信協会の委託を受けて行った調査と推計では、スパムメールによる付加価値の損失は約7300億円でした。

 推計開始年度を繰り下げて再調整を行った結果、2020年前後に損失額がGDPの1%に達すると予定されます。

 スパムメールは労働のみならず、資本の効率も低下させている可能性があります。
鵜飼氏らは、概念によって、スパムメール対策の政策提言をするならば、として述べています。
①ガイドラインの制定
②有害なスパムメールを排除し、有用なメールと認定する制度の創設
③業界団体の自主規定の制定などなどが考えられる。

 問題は、いかなる研究機関も継続的なスパムメール調査を行っていないことです。したがって、政策効果の測定は不可能です。何らかの公的資金を用いて、継続的な調査を実行することが必要であると述べています。

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