2月24日のわたしのブログで本件の公判について、述べましたが、5月26日に供述調書の証拠採否が行われました。ここで、重要な調書については、「取り調べに問題があった」などとして、採用を却下しました。
この件についてもう一度振り返ってみましょう。これは、障害者団体向け割引郵便制度の悪用をめぐる障害者団体証明書偽造事件です。虚偽有印公文書作成・同行使罪で厚生労働省の元局長、村木厚子被告(54)の裁判です。これは、民主党参院議員の元秘書で、実体のない障害者団体「凛の会」会長をしている倉沢邦夫被告(74)=公判中=が、石井一議員の口添えで、厚労省元部長に証明書発行を依頼し、元部長が村木被告に便宜を指示し、村木被告が議員案件ということで、了承し、上村被告(48)に早急に証明書を作るように指示したというものでした。
村木被告は罪状認否で、「私は無罪です。部下に指示した事実は一切ありません。一切犯行にかかわっていません」と述べ、起訴内容を全面否認していました。最大の争点は、村木被告が部下だった元係長、上村勉被告(40)=起訴=に証明書偽造を指示したか否かというものです。捜査段階で村木被告の指示を認めていた上村被告が公判では、単独犯行を主張していました。
起訴状によると、村木被告は障害保健福祉部企画課長だった平成16年6月、倉沢被告や上村被告と共謀し、障害者団体としての実体のない「凛の会」が割引郵便制度の適用を受けるために必要な証明書を上村被告に偽造させたとされます。
横田伸之裁判長は、「取り調べに問題があった」などとして検察側控訴の調書について、採用を却下しました。そのほかも「検察側の意図に沿って誘導された可能性がある」、「取り調べには問題があり信用できない」などと述べ、多くの検察側の証拠の採用を却下しました。検察側は、主張していた根拠の根幹が失われてしまいました。これで、村木被告は無罪の可能性が大きくなりました。
村木被告は「裁判所がていねいに証拠を検討してくださったことに感謝している。一日も早く無実であることが明らかになり、社会復帰できる日が来ることを心から願っている」とのコメントを出しました。女性で局長まで駈け上がって来た村木さんの一生はぼろぼろです。どう回復してくれるのでしょう。村木さんは、厚生労働省に戻れるのでしょうか。
この報道は覚えておられるかたも多いかと思いますが、新聞やテレビは、村木被告は、完全にクロでした。村木被告の上司である舛添要一元大臣などは、「厚労省の中からこのような人が出て残念です」と多くのメデイアの前で話していました。村木被告が否定しているにもかかわらず、そういう悪い人間が厚労省におり、まともなのは舛添だけだというようにとれました。
この裁判は、6月22日の検察側の論告求刑、29日に弁護側の最終弁論が行われて結審し、判決は9月中旬にも言い渡される見通しです。
この調書却下の報道は、新聞には出ていましたが、テレビでは報道されたのでしょうか。どうも日本のマスコミは、起訴されただけで、有罪と決めつけるところがあります。今回の裁判で、無罪が言い渡されましたら、マスコミは報道姿勢を謝り、反省してほしいものです。
先の小沢幹事長の問題でも秘書が起訴されただけで、小沢さんは辞めねばならないなどと大手メデイアは国民を誘導しますが、これは非常に危険です。その人の人権を考えると、罪が確定してから、結論をいうべきでしょう。また、取り調べの可視化法案も是非成立させてほしいものです。
2010年5月31日月曜日
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