2012年6月21日木曜日

鮮明になった官製バブルのひずみで、土地政策の実績を競う

「土幣」。中国では2000年代にこんな言葉が生まれたそうです。当局が開発・供給する土地は、貨幣に似て信用があるという意味です。胡錦濤(69)政権下の最近10年間、高成長が続いたが、原動力の一つだった「官製土地のバブル」のひずみはもはや無視できないところまで来ています。

モンゴルと国境を接する内モンゴル自治区のオルドス市で、市政府は04年、人口1千人余りで、羊毛が特産だったカンバシ区で20万人が住める新都心づくりを始めました。石炭値上がりで潤った地元の炭鉱経営者らの住宅需要を当て込んだのです。
300億元(3900億円)以上を投じ、豪華な市庁舎や図書館、博物館を整備しました。ところが、公称8万人の人口は「実際は4万人程度」(ある住民)とされ、中国の都市で付き物の交通渋滞もない。乱立するマンションは空室だらけで、「鬼城(ゴーストタウン)」の代表例となってしまいました。
カンバシ区に住んでいた農民は、1人最高100万元(約1300万円)ともいわれる立ち退きの補償金を受け取り、多くはマンション群の一角に移り住みました。彼らは手にした大金を、地元の小さなローン会社で運用しました。ローン会社はその資金を「土幣」のからくりに再び流し込んだのです。
だが、市況過熱を嫌った中央政府の引き締め策で、ピーク時から価格が34割下がるマンションが続出。開発業者の資金繰りは悪化の一途で、ローン会社は相次ぎ閉店しました。近所に住む40歳代の住民は「利子も元本も返ってくる望みはない」と元農民らに同情しています。

中国では、土地政策が権力の行方と密接に結びついてきました。共産党は土地を公有とし、使用権を平等に分ける「土地革命」で民衆の支持を得て、49年に政権を樹立。78年に党の実権を握った鄧小平は、改革開放政策を進め、使用権を売買する仕組みが整えられました。

地方政府の土地譲渡による収入は11年、合計3兆元(約39兆円)を超えました。税など固有の財政収入の6割は、地方が自らの最量で使えます。
共産党・政府では「幹部選抜の基準で、いまだに経済成長が重視されている(党関係者)。結果として、中国の土地政策は現在、地方政府が域内総生産(GDP)の押し上げの実績づくりに使う“打ち出の小づち”の性格を帯びているといいます。
「今後5年間、北京や上海に並ぶ中心都市へと整備したい」(瀋陽市政府幹部)。次期首相に有力な副首相の李克強氏(56)が、07年までトップを務めた遼寧省の省都、瀋陽氏も同じだ。13年全国運動(国体に相当)開催を控え、メーンスタジアムの建設、鉄道・道路網の拡充など空前の建設ラッシュに沸きました。11年の市全体の固定資産投資額は、前年を29%も上回る4560億元(約59280億円)。市のGDP8割弱の金額にまで膨みました。

「中国のGDP統計は人為的で、参考用にすぎない」。
と、内部告発サイト「ウィキリークス」は1012月、中国要人が07年、当時の駐中・米国大使に語ったと米外交公電を公開しました。
発言の主は、李氏だとされます。中国側は事実確認を避けましたが、実際に中国では全国に31省・直轄市・自治区のGDPを合計すると、国のGDP1割りも上回る怪現象が続いています。
一党支配下での土地開発は質の高い住宅や工業用地も供給したが、弊害が目立ってきています。土地に頼らない成長モデルは、年内に開く党大会後も最高指導部にとどまる李氏らの宿題です。日経新聞より。

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